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チェントロ・ロッタミ社とインディンベストLT社、トムラの自動選別機で 再生アルミニウムの新たな可能性を開く

~イタリア・ラティーナ県の鋳造企業が近傍のリサイクル廃材業者から供給される再生アルミニウムを用いて、再利用率85%の環境配慮型ビレットを製造。エネルギー消費と汚染リスクを低減した、リサイクル材料由来の高品質製品を実現~

09 11月 2021

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アルミニウムはリサイクルしても表面特性が損なわれない貴重な材料です。100%の再利用が可能であるため、その更なる活用が求められています。ボーキサイトからの一次アルミニウム製造と比較して、アルミ合金の再利用ではエネルギー使用量を95%削減でき、結果的にCO2排出量も大きく削減できます。

イタリアのアルミニウムリサイクル率は欧州第1位の70%であり、2025年までにリサイクル率を50%に引き上げるという欧州連合の目標をすでに達成しています。

チェントロ・ロッタミ社およびインディンベストLT社による、リサイクル材料を用いた新たな製品生産のモデル事例

1985年にイタリアのチステルナ・ディ・ラティーナで創業したチェントロ・ロッタミ社は、10年にわたりアルミニウムスクラップの再利用に取り組んできました。工場のテクニカルディレクターであるジェナロ・デル・プレテ 氏は「当社は鉄屑の破砕業者として出発しましたが、5年前からはアルミニウムの精錬を主力事業としています。この事業モデルの変革はトムラのテクノロジーがあって初めて実現したものです」と述べました。

同社では、毎月1,500トンのアルミニウムスクラップと1,000トンの鉄鋼屑を処理しています。入荷されるアルミニウムは主に窓用廃材ですが、これにはプラスチックやゴムなどの不純物に加え、銅、真ちゅう、亜鉛、およびスチールといった金属が含まれており、純粋なアルミニウムを生産するにはこれらを除去しなければなりません。

同社は12年にわたってトムラ製品を採用し、現在はセンサー技術搭載の自動選別機である「FINDER」と「X-TRACT」を3台ずつ保有しています。アルミニウムの精錬では、投入した材料をシュレッダーに掛け、磁石と渦電流選別機で予備分別します。分別された材料は2つのラインに分けられますが、渦電流選別機で選別された材料はFINDERユニットで処理され、ステンレス鋼のような金属が回収されます。FINDERは、SUPPIX®およびZ-TECTといった先進技術により、超高精度で金属を検出します。これにより、驚異的な純度での選別が可能となるため、商品価値が向上します。

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並行して、X-TRACTユニットにより、渦電流選別機で選別されたアルミニウムの純度を高めます。X-TRACTは最新のX線透過技術で残った不純物を検出し、原子密度によって選別します。これらのソリューションにより、破砕されたアルミニウムから、銅、真ちゅう、鋳造アルミニウムのような重い金属を驚くべき精度と信頼性で除去することができます。また、使用するエネルギーも抑えられるため、生産能力も向上します。

デル・プレテ氏は、「2019年、当社はX-TRACTを2台追加導入することに決定しました。これは質・量ともに拡大し続けるアルミ需要に応えることが目的でしたが、近傍のアルミニウム精錬業者であるインディンベストLT社(以下、インディンベスト)との協業による相乗効果を狙うためでもありました。当社は3台の機械を1ラインにまとめることで、破砕片をさらに細かく分別し、選別精度の向上による最高品質のアルミニウム生産を実現したのです」と述べました。

デル・プレテ氏はさらに、インディンベストとの協業について、「インディンべストのような鋳造企業にとって、最も重要なのは高品質な製品を継続的に生産できることです。したがって、鋳造企業との信頼関係を確立するには、精選された高純度なアルミニウム供給を担保しなければなりません。その点、トムラの選別技術はこの上ない最高の品質を実現しており、形材の要件を満たした高品質な合金、亜鉛、銅を生産することができます」と述べました。

 

インディンベスト、使用済みスクラップから環境配慮型ビレットを製造

インディンベスト社は、アルミニウム形材の製造と射出成形において重要な役割を担っています。チェントロ・ロッタミに隣接する同社は、年間生産能力60,000トンの統合ビレット鋳造設備と、押出形材の年間生産能力計60,000トンを有する射出成形ライン5本を保有しています。

同社の鋳造所責任者エツィオ・ポレカ氏は、「インディンベストがチェントロ・ロッタミから使用済みスクラップを購入するようになってから5年になります。チェントロ・ロッタミがX-TRACTを使用しているおかげで、溶解炉における使用済み材料の使用率が以前の約20%から約4050%まで大幅に向上しました。これにより、一次アルミニウムの使用量を削減しつつ、エネルギーとガスの使用量を5%削減できました。私たちの生産量を考えれば、5%の削減でも多大な節約効果となります」と述べました。

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インディンベストは、各種の仕様に適合した高品質な合金を生産しています。そのため同社は、独自の溶解手法を採用しており、一次アルミニウム、社内の製造後スクラップ、そしてチェントロ・ロッタミが供給する使用済みスクラップの3種を材料として使用します。こうして製造された混合物は、ビレット生産のための基準合金となります。スクラップの品質が高ければ高いほど、原材料の使用量も減少します。

ポレカ氏は、「より純度の高い再生アルミニウムを使用することで、生産量は飛躍的に増加します。純度が低い再生アルミニウムには、塗料、プラスチック、その他の不純物が含まれており、それが溶解炉でスラグを発生させます。トムラ製品で選別された高純度材料を使用すれば、不純物が少なくなり、炉内清掃の必要性も低減されます。炉内清掃ではドアを開けなければならず、炉内の温度が1,100度から800900度にまで低下しますが、それを再度1,100度まで上げるために、時間、ガス、電力が消費されてしまうのです」と述べました。

インディンベスト社長ロベルト・アンティチ氏は、「私たちにとって、協業して共に歩むという考えは非常に重要です。両社は共にこのプロジェクトを立ち上げましたが、その相乗効果による利益は明白です」と述べました。

このコラボレーションが、より優れた、よりグリーンなアルミニウム製品の生産を可能にしました。アンティチ氏は、「2年前、85%もの再生アルミニウムを用いたCrealというビレットを製造しました。このビレットは、その機械的特性、何より表面特性において、ボーキサイトから精錬した一次アルミニウム製のビレットに匹敵します」と述べました。

トムラの自動選別機が導入されていなければ、再生アルミニウムの含有量はせいぜい3540%にとどまっていた可能性があります。トムラの自動選別機導入により、インディンべストはこの素晴らしい成果を収めることができたのです。

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アンティチ氏はさらに、「近年、当社の製品は好評で、需要も増す一方です。特に、パリ協定により2030年度CO2排出削減目標の達成が義務づけられている現在、すべてのお客様がリサイクル材料由来の形材生産を推進しています」と述べました。

 

成長を続けるアルミニウム市場

デル・プレテ氏は最後に、「近年の数少ない追い風の傾向の一つが、アルミニウム業界の成長トレンドです。莫大な供給量とその機械的特性(柔軟性、耐久性など)により、再生アルミニウムは、木材やガラスと並ぶ未来の材料になっています。これこそが、当社が再生アルミニウムに注力する理由です。多くの企業から引き合いがありますが、こうした企業の方々は、当社の使用している技術をよくご存じです。そのため、当社のリサイクル製品の絶対的な品質を信頼してくださっています。当社は既に、アルミニウムを使用する最重要業界である、自動車業界や建設業界の複数の企業にアルミニウムを販売しています。最良のチームと設備のおかげで将来的には、他の業界にも進出が可能だと見ています」と述べました。

事例紹介の動画はこちらからご覧いただけます。  https://video.tomra.com/aluminum-sorting-centro-rottami